2018年4月21日 

2018年4月、世界的建築家イオ・ミン・ペイ(I.M. Pei)氏の101歳の誕生日を祝うプライベートパーティーに招かれ、ニューヨークのご自宅にて鮨を提供しました。親日家であり美食家でもあるペイ氏の記念すべき節目に、日本の鮨と伝統工芸によるおもてなしを行いました。

ペイ氏の特別な一日に寄り添う鮨の提供

ペイ氏は、ルーヴル美術館のガラスピラミッドをはじめ、世界的な建築作品を数多く残した20世紀を代表する建築家です。101歳の誕生日という特別な日に、どのように日本の鮨を楽しんでいただけるかを第一に考え準備を進めました。

当日は、お造りと握りを中心とした構成で提供し、召し上がるたびに「Very good!」「Arigato」と笑顔で声をかけていただきました。ご家族からは「最近は食が細くなっていた」と伺っておりましたが、当日は多くの鮨をお楽しみいただき、鮨がもたらす力を改めて実感する時間となりました。

本物の食材と工芸品による“日本そのもの”の演出

松乃鮨では、日本の鮨を海外で提供する際、「食材」「道具」「しつらえ」を含めた総合的な日本文化の体験として伝えることを大切にしています。

今回も、
・尾州ヒノキ(樹齢300年以上)のまな板
・辻村史郎氏の徳利・お猪口・茶碗
・漆器類 など
日本の伝統工芸品を多数持参し、空間全体で“日本の鮨”を感じていただけるように整えました。

魚は日本の漁師から特別に仕入れたものを使用し、食材・器・所作を揃えた総合芸術としての鮨をご体験いただきました。

かけがえのない学びと再訪

この出張握りは、松乃鮨にとって大変貴重な経験となりました。同年11月には再度ニューヨークを訪れ、二度目の鮨提供を実施。ペイ氏には最後まで日本文化への深い関心をお寄せいただきました。

2019年5月16日、ペイ氏は102歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。